あらすじ
不意に鳴った電話
「もしもし」
迷わず取った。
そこに一縷の可能性でもあれば、、、
「楓君」
少し鼻にかかるその声は、桜子のものでは無かった。
「誰ですか?なんで僕の番号知ってるんですか?」
「それはどうでも良いじゃ無い。それよりも今は私達の出会いに祝いましょう」
「此方は恋人が失踪してそれどころじゃ無いんです。失礼します」
「ちょっと待って。まだ切らないで」
「やっと結ばれた彼女が居なくなった僕の気持ちが分かるんですか?」
「わかるわよ」
「え?」
「私も最近男と別れてね。ずっと連れ添ったパートナーだった」
「あの。。。僕自分の事ばかり考えてました。なんだかご免なさい」
「良いのよ。ねぇ明日の今頃にもまた電話掛けても良いかしら?」
「はい。また明日」
そこで電話は切れた。
翌日また同じくらいの時間に電話が掛かってきた。
番号も同じだった。
「もしもし」
「待っててくれたのね。間髪入れずに取ってくれるなんて」
「いえ、お恥ずかしい」
「まぁ良いわ。今日はどんなお話をする?」
「えっと、あなたの正体が知りたいんですが」
「あはは、せっかちね。それはもう少し後にしない?」
少し年上に思えるこの女性はなんだか分からないけど、余裕があるというか。
「じゃぁ明日、休みなんだけど、東京駅のX番乗り場の前で待ち合わせない?」
つづく