化け蟹に脚を挟まれた兵六
「歌合戦かにー。おいらの心を震わせたら脚を離してやるかにー。まずお前から」
「何で歌合戦なんだ!早く脚を離せ」
「切り刻まれたいのか?」
「分かったよ。歌うよ歌う」
兵六はさるかに合戦を歌った。
「お前・・・上手いな。選曲もいい。離してやる」
脚を離した所で刀を抜いて蟹の甲羅を打つ。
「ぎゃぁーお前は猿と同じタイプだったかぁ」
蟹は元の3寸に戻って逃げて行った。
しかし呪いが発動。
手や顔がざわざわして気付くと猿の姿になっていた。
「妖狐の見せる幻術」
これを知っていた兵六は、
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」
と一心不乱に念仏を唱えた。
すると心がスーッと軽くなり元の姿に戻った。
そして更に山奥へと進んだ。
つづく