その頃京香は
「良い景色ね」
海にいた。
「おーい。京香-」
向こうから両手にソフトクリームを持った男がやって来た。
「お待たせ。ほら、京香の好きなマーブルソフトだよ」
「ありがとう。信士」
京香は右手でソフトを受け取った。
「9月というのに結構人多いわね」
「残暑が厳しいからね-」
他愛もない会話をする二人。
だが出会ったのは二時間前だった。
浩助と雪がいちゃついている間に大火事は飛び火していた。
なんと言うことはない出会いだった。
片道一車線の道路を信士が軽トラでブラブラ走っていると、
道路の傍に居た女性が振り返り様手を上げた。
京香だった。
その整った顔立ちとスラリとしたスタイルの良さで信士は恋に落ちた。
「何ですか?俺はトラックですよ。タクシーじゃないですよ」
「わかっているわ。ねぇ海まで連れてって下さい。近くなんでしょ」
「まぁ確かに1kmも走らずに海ですが。。。分かりました。どうぞ乗って下さい」
内心は嬉しい信士であった。
つづく