映画の後で
2人は映画館を後にした。
空には薄雲が掛かり、
明るい十六夜が空を照らしていた。
「アレク」
「何だいミリヤ」
「改めて、今日は誘ってくれてありがとう」
「びゅーーー」
2人の間を風が吹き抜けた。
十六夜に掛かっていた雲が流れ、
より一層2人を照らし出した。
「どうしたんだい?改まって」
アレクは思わずそんな事を言ってしまった。
返事は帰って来なかった。
「どうしたの?」
「嬉しくて・・・」
ミリヤは涙を流した。
「どうしたの?何で泣いてるの?」
アレクは慌てふためいた。
「映画の話が泣ける話で」
アレクは正直さっきの映画の話は憶えていない。
ずっと静かにいびきをかいていた。
「映画のあそこがこうで、ここがそうで」
どうしよう。
後でDVD買って観ないと。
つづく
